まとめてみよう3
6章 防災情報システム
総合管理システム
地震対策そのものを大きく4つのフェイズに分類する
①自身が発生する前の平常時の対策
②地震の予知とそれに基づく警戒宣言が発令されてから地震発生までの対策
③地震発生後1週間程度までの応急対応のための対策
④それ以降の復旧・復興のための対策
平常時の対策
基本的には災害対策基本法に基づいている。
地方自治体は「地域防災計画」に基づいている。
警戒宣言発令時
①地震予知と判定のための情報
②住民への通達
応急対応時
①震度の観測
②救出・救護対策
③消化活動
④避難勧告と誘導策
⑤被害調査
⑥余震警戒
⑦安否情報連絡
⑧避難所運営対策
復旧・復興時
①発災後1~2週間から5~6か月程度までを射程に考える。すぐに復興支援プログラムを作らなくてはいけない。
②生活再建情報、物資リストや給付できる融資制度などを被災者に伝達することが重要。
③復旧・復興支援計画策定、公営空家や民営賃貸利用可能個数などの情報が必要となる。仮設住宅を希望する際は世帯数や被災者の属性などが必要になる。
情報収集と伝達
地震情報の観測
地震観測点網と震度観測点網がある。前者は地震の震源と規模を特定するための観測点網で、後者は覚知の震度を観測するための観測点網である。合わせて602地点ある。自治体は別に地震観測ネットワークを構築している。「横浜市地震被害推定システム:READY」などが確立している。
災害時に情報を収集するのは
消防、自衛隊、警察、自治体の地区災害対策センターなどの隊員・職員である。特に高いのは警察と消防であるが、それぞれの人的被害と火災被害が主管であるため、建物被害に関しては補助的作業となる。また初期段階では被害情報の収集は後回しになる傾向がある。
情報の伝達
第一報は防災行政無線を通じて関係機関に伝達される。
①同時送話装置 気象官署から行政・報道機関へ
②中央防災無線 内閣府と中央官庁および指定公共機関、防災関係機関の伝達
⑤市町村防災行政無線 市町村から住民へ
住民に対する伝達は 国 → 都道府県 → 市町村 → 住民
という上意下達方式で末端は同報無線が利用されることになる。従来の音声ベースから画像を使った伝達手段を計画している。
新技術
①ブロードバンド(高速大容量通信)移動通信システム
②衛星共有電話システム
③ヘリコプターや航空機で収集したリアルタイム画像を観測衛星から配信
④IPネットワーク利用システム
GISの利用
位置や空間に関する情報を持ったデータを総合的に管理・加工し視覚的に表示できる高度な分析や迅速な判断を可能にする技術。
①高速・超高速インターネットの普及の推進
②教養の情報化・人材育成の強化
③ネットワークコンテンツの充実
④電子政府・電子自治体の着実な推進
⑤国際的な取組の強化
7章 地域防災力
公助
政府や地方自治体を中心とした公的機関の主導による、国民を災害から守る事業。
自助
公的機関の努力と併行して、一人一人が「自分の身は自分で守る」ことを基本として、日頃から災害への備えを進めるようにすること。個人の対策。「自ら」に対してだけでなくその周辺の「地域」「社会」に対しても影響を持つ。その意味で結果として「地域社会」へ貢献する。いわば共助的な役割を持つといえる。
共助
市民並びに地域や企業などとの協働のなかで災害に立ち向かうこと。発災時に地域住民が連携して、初期消化、情報の収集伝達、避難誘導等の活動が円滑に行われることが重要である。地域コミュニティ・自主防災組織への積極的参加が望まれる。地域コミュニティボランティア団体同士や行政との連携、で被災地における救援活動において社会に大きな役割を果たすことが期待される。
ロバート・パットナムのソーシャルキャピタルの概念
共助体制の確立に大きなヒントを与える近所付き合いや信頼、共同で行うボランティア活動など大都市では失われてしまった人間関係こそ社会的な財産であるとしてソーシャルキャピタルという。
「社会的信頼性」「互酬性」「ネットワーク」といった社会組織の特長がソーシャルキャピタルと言える。大都市は低く、地方都市は高い。歴史都市の京都は中ぐらいだが奈良は低めである。
地方防災の担い手
①自主防災組織②まちづくり協議会③消防団④事務所と自衛消防組織
防災能力は装備度、人的資源と技術水準の3要素で評価できる。防災組織の防災能力は一定ではない。その地域の自主防災組織などが固有に持っている力としての「固有力」実際の被害に対してどれだけの対応が可能であるかを示す「対応力」
近年の「防災まちづくり」は災害に強い社会システムを作り上げていく住民主体の協働活動であり、ソフト対策とハード対策を一体として考えたものである。
災害図上訓練DIG 災害救援に関するブレインストーミングのための仕掛けである。「災害を理解する」「まちを探求する」「防災意識を掘り起こす」という意味もある。
平時 → 発災 → 応急対応 → 復旧・復興 → 平時 という防災サイクルを踏まえ連続的適応能力を向上させなくてはいけない。