まとめてみよう2
4章 地震と都市火災
災害の連鎖構造
初めの災害の影響として発生す災害を二次災害と呼ぶが、自然条件の物理的関係から発生するもののほか、人為的要因が関係して発生する二次災害もある。
スマトラ島沖地震における大きな被害は津波が起こしたというものもこれに当たる。東日本大震災に関してもこのようなことが言える。人為的なところで言えば鉄道災害などがこれにあたる。
都市火災の定義
一つの街区の大部分を消失するような市街地火災を 街区火災
二つ以上の街区に拡大した市街地火災を 都市火災
消失領域3万3,000平方をもって都市火災とすることも可能である。
出火と延焼のメカニズム
阪神淡路大震災 電気関係からの出火源
地震火災の発生原因は様々、そこらじゅうが火災になるので放任火災が起こる。炎も風下側に傾き隣接した建物に直接接炎することもある。地震火災は確率的な事象であり、全て悪条件として重なると大規模の都市火災につながるといえる。延焼要因としては放射熱、接炎、熱気流、火の粉。
関東大震災では風速の違いが大きな影響を与えているようだ。
リアルタイム情報処理による地震火災の予測
地震発生後の情報により必要な予測を行い、これに基づいて防災行動を決定するプロセスを「リアルタイム情報処理」と呼ぶ。火災発生位置情報に基づきその後の延焼状況を予測し、避難誘導に役立てるための研究である。機器の発展で可能性はますます広がるだろう。
耐火造 コンクリート造、煉瓦造、石造
準耐火造 上記3つの中で多少性能が劣るものを原則
消防の障害
出火覚知方法の問題、消防車両走行障害の問題、消防水利確保の問題、消防施設の問題などがある。現状では、見回りや市民による駆け込み通報などの協力が必要と考えれる。
強風下の都市火災対策
関東大震災では多くの人が火災旋風で焼死されたとされている。火災旋風も十分に解明されていない。現在では原則として屋根は不燃材で造られる。だがしかし、風速15m/s以上では消防力は期待できないとされている。この規模が地震に重なるのはは3万年に1回程度とされているため不幸としか言えない。
5章 群衆避難論
火災発生 → 発生した建物の外へ → 近くの公園や学校や一時的に避難
→ 放射熱から十分に身を守ることができる広さを持った避難場所へ集団で移動
といった3段階の過程をとる。
さらに大きな避難所に移動することになると広域群衆避難とよばれる現象がおこる。
広域群衆避難が不要なほど耐火建造物の建築面積が割合が高い場合は「地区内残留地区」としている。
耐火建築が一番有効な手であるのだが一朝一夕では進まないため現実的な対策としては広域避難計画があげられている。
避難の定義
自らの得た情報を基づき、自らの状況が安全でない、もしくは、将来、安全でなくなると判断した場合、自らの位置を生命の危険が生ずる恐れの少ない場所と判断した場所に移すこと、もしくは、その場にとどまること。
避難行動の原理
①非難は行動であり、行動は判断に伴い、判断には情報が必要である。
②避難行動は危険な動的な変動に応じて自らの位置をより安全な場所に移動する行為
③避難者は安全だと判断した場所にたどりつけばそこで避難行動を終える
④安全は避難行動によって必ずしも保証されるわけではない。
とあり、群衆避難においてはいったん群衆になると相互の干渉が発生し、追い越し追い抜きなどの行動が困難となる集団歩行の状況が発生する。群衆となることそれ自体が個人もしくは少人数での避難とは異なる危険を内在しているのだ。
避難行動分析
パニックが生じる必要条件
①緊迫した状況に置かれているという意識が、人々の間に共有されていて、多くの人々が差し迫った脅威を感じていること。
②危険を逃れる方法があるということ
③脱出は可能だという思いはあるが、安全は保障されていないという強い不安感があること
④人々の間で相互のコミュニケーションが正常に成り立たなくなってしまうこと
ヤバい。逃げ道はあるけどホントに無事に逃げれるの?あそこの人発狂してるやん…
っていうことだな。
歩行速度に及ぼす影響要因
①季節、天候などの環境条件
②性別、年齢などの肉体的条件
③被服、装備などの服装条件
④歩行目的、感情などの心理的条件
⑤グループの人数・種類、群衆速度などの集団的条件
追従理論
前のひとにぶつからないような速度で人は行動する
群衆避難のモデル化
避難も出るでは、実空間を想定した多様な災害条件、避難条件を設定することができる。つまり実験が困難な対象空間における避難状況を把握する有効な手段である。
避難モデルには次の事項が表現されている
①対象となる避難者の動きおよび災害の影響
②災害が発生した場合にどのような避難状態になるかの予測
③予測した結果の評価
群衆モデルの分類
規範型モデル ― 最短経路モデル・最遅避難モデルなど
記述型モデル ― 流体モデル
― 粒子モデル
規範型は目的となる数量または関係をあらかじめ設定しておいて、それを達成するためにはいかなる群衆避難挙動が適当であるかを解として導くもの。
流体型避難モデルは避難者を流れとして考える。たとえば、道路幅や開口部にどれだけあれば、単位時間にどれだけ人の流量が通過できるかを計算する。つまりは避難者を流体として考えるということである。
粒子型避難モデルは、避難者を粒子として考え、それを移動させることにより、避難を予測する手法である。より柔軟に避難者行動を記述することができる。
エージェントモデル
「粒子」をシミュレーション上で避難者の役割を果たす仮の実体としてとらえると、その粒子を「エージェント」という概念で表現することができる。
大規模災害時に被災者、救助員などの相互関係をわかりやすく記述、処理することが必要となり、エージェントの概念はこれらの要望に合致してると考えて良いだろう。
特長としては
①人間の複雑な行動を記述できる
②自立行動の記述が可能である
③防災システムで各種防災の効果を確認することができる
避難を行う個人を避難エージェントとする。
行動を「移動」「通信」「思考」「基本属性」により定義
安全なところに行くとい安全化EAとなる。EAの行動は外部の情報を受信し、それを判断して規定されるが、同時に外部の情報を受信し、他者に干渉する。情報発信部である「トランスミッター」と情報受信部である「レセプター」がある。EAは自ら情報を受信し、事故の知的能力に応じて情報を処理し、次の目的ノードの決定をする。また知的能力差を個人の間に持たせることも可能で、それを踏まえて総合判断力を持たせていみることもできる。
地下の危険性
①物理的な通行避難口の少なさ
②火災発生時の火炎・煙などによる避難路確保の困難さ
③平常時の人口密度の高さ
④方向覚知困難および精神的圧迫感よる避難行動の緊迫化
プラスに働くこともある。
煙感知器・火災報知器などの防火施設が施されいるほか、地下構内の放送設備が整っているため比較的速やかな避難を促すことが可能である。落下物の危険からの解放。